なぜ日本はEVの普及を急ぐべきなのか(その8)――EVの欠点は十年以内にすべて解消する

EV関連
出典:Green Parking




これまで現行車の代替としてバイオ燃料車・燃料電池車・天然ガス車がふさわしくないと論じてきたが、だからといってEVの将来性までが約束されるわけではない。現に、EVを購入したいというユーザーは少ない。その理由は、「価格が高い」「走行距離が短い」「街中の充電場所が少ない」の三つに集約される。比較的高価な上、運転中は電欠の不安に苛まれるとしたら、ユーザーの食指が動くはずがない。これらの欠点を克服しない限り、本格的な普及は望めない。果たして、改善していく見込みはあるのだろうか。



走行距離「300キロ超え」が確実になったEV

同じ二次電池であっても、敷地に据え置く発電所用の場合、大きさや重さに比較的制限を受けないので、エネルギー密度をある程度犠牲にして、コスト面のメリットを選択できる。しかし、自動車用となると、重さやスペースに厳しい制限があるため、エネルギー密度が高くなければ話にならない。よって、自動車用は二次電池として一番難しい。それをクリアしたのがリチウムイオン電池だ。それゆえ量産型EVの道を切り開いたと言われる。

充電場所の少なさはインフラサイドの問題なので、車体自体の問題に関していえば「二次電池の性能とコスト」に尽きる。この改善がEV普及の明暗を別けるといえる。

現在、リチウムイオン電池の価格は、1kWhあたり10~15万円だ。日産リーフは24kWhの同電池を積んで327万円から、三菱アイミーブは16kWhを積んで265万円からだ。エコカー補助金は終わったが、高額のCEV補助金が交付されるので、今現在の価格はそれほど高価でもない。

ただ、走行距離に関しては、現行の日産リーフで、せいぜい200キロくらいではないかと言われている。つまり、1kWhあたり8キロ(しかもエアコンオフで)程度である。これだと短距離・通勤通学以外の用途は難しい。

ただ、朗報は相次いでいる。テスラモーターズが13年上期に投入する「モデルS」の走行距離は、一回の充電で480キロのカタログ値だ。また、ベンチャーのSIMドライブが先ごろ公開した試作EV『SIM-WIL』は、同350キロ。ようやく、中距離域をカバーし始めた。ただし、高級車や試作車の例を引いても、あまり意味はない。あくまで大衆車仕様のEVの実力がどうか、という点が問われねばならない。現在、電池性能とエネルギーの利用効率が地道に改善しているので、それに関しても期待が持てる。

今年10月の発表によると、NECが電極材料と電解液を改善することで、リチウムイオン電池の蓄電容量を3割以上高めることに成功したという。2年以内の実用化を目指すそうだ。また、京都大学とパナソニックも、新しい電極材料の開発により、同1・4倍に高めることに成功した。これでEVの走行距離は、従来の「3~4割増し」になる。

一方、コスト面では、トヨタが電極材料の製造費を一挙に半減する方法を開発した。また、エネルギーの利用効率では、ホンダの「フィットEV」が1kWhあたりの走行距離を10キロに伸ばした。日産リーフが同8キロ前後なので、かなりの改善である。

以上のことから、数年後に発売されるセダンクラスの大衆向けEVは、ズバリ、「走行距離300キロ超え」で、定価は300万円を割ると思われる。つまり、EVは大衆車レベルで中距離域に踏み込むものと思われる。ちょっと前までは、「EVは短距離用・FCVは中距離用」という住み分けも想定されていたが、EVがほぼ燃料電池車のレベルに追いつくことにより、早晩、この種の区分も意味をなくしてしまうだろう。

ちなみに、ランニングコストはどうだろうか。夜間電力ではなく、あえて最高値の家庭用料金で試算してみよう。現在は1kWhあたり23~4円だ。よって、75円あれば30キロは走れる計算になる。これはちょうどHV車のリッターあたりの走行距離に等しい。ガソリン価格はこの倍ほどだから、EVのランニングコストは低燃費車と比べても半額程度ということになる。仮に将来、電気代がうんと値上がりして、1kWh=30円になった時のことを想定しても、十分にペイしよう。もはや、購入費・ランニングコスト・維持費等を合わせた「総コスト基準」では、EVが決して不経済でないことが分かる。

キーデバイスとなる有望な二次電池が続々と登場

しかしながら、リチウムイオン電池の地道な改善だけでは、コストや性能面におけるEVの飛躍的な進歩は望めそうにない。そこで「ポストリチウムイオン電池」の登場が待たれるが、この点に関しても展望は明るいようだ。実際には「バッテリー問題」は研究室レベルでは解決済みであり、あとは市場投入を待つだけというのが真相のようだ。

第一に、住友電気工業の開発した「溶融塩電解液電池」。同社の発表では、ありふれた材料で構成され、同じ容量の場合、リチウムイオン電池の半分の体積ですみ、完全不燃性で発火の心配がなく、1kWhあたり2万円という低コストが視野に入っている。ただし、作動温度が57度なので、車両としては発車時用の他電池と組み合わせる形がいいかも。

第二に、東京理科大学の開発した「ナトリウムイオン電池」。他にも様々な企業や大学が取り組んでいる。キモはリチウムをナトリウムに、またコバルトを鉄などのありふれた材料に置き換えた点にある。リチウムは何々塩湖といった場所に偏在しているが、レアメタルフリーによって資源制約から解放される(*ただし海水中には豊富に存在し、コストの問題を抜きにすれば技術的には既に採取可能)。リチウムイオン電池に比べて、材料費は十分の一以下とも言われている。エネルギー密度は今のところ同程度だが、将来的には同電池以上の可能性があり、トヨタなどはEVで500キロ以上を目標にしている。

第三に、「金属空気電池」。正極側活物質に空気中の酸素を用いるため、容積を半分強に抑えることができる。負極にはリチウム、亜鉛、マグネシウムなどを用いる。豊田中央研究所はエネルギー密度「リッター2kWh超え」を成し遂げた。対して、ガソリンはリッター9kWh強なので、一見まだまだ至らないように思われるが、モーターと内燃機関のエネルギー利用効率差を考慮すると、近接したに等しい。まだ課題もあるが、現在のところ、この金属空気電池の、さらに全固体式(*電解液を固体に変え、セルケースを不要にしたもの)が究極とされ、今年12年度、産総研のグループが開発に成功した。

第四に、「アルミニウム電池」。電子軌道は内側から順にK殻が2個、M殻が8個、L殻が18個のため、原子番号3のリチウムや11のナトリウムの場合、閉殻(電子軌道が埋まった状態)による安定化で「1価」の陽イオンになる。一方、原子番号13番のアルミニウムは「3価」となり、これはイオンとして存在しやすい上限だと言われる。よって実用化されれば、非常に優れた蓄電池になりえる。しかも、アルミはありふれた素材だ。先月、ソニーがこのアルミニウム二次電池用の、室温で動作する電解液を開発したと発表した。まだ基礎研究段階だが、将来有望な候補の一つである。

その他にも、東芝の「SCiB電池」やイーメックスの「高分子・ガラス電池」など、急速充電池が可能で、充放電を繰り返しても劣化しにくい電池が登場している。

このように、エネルギー密度が低い、コストが高い、材料が希少である、充放電サイクルが短い、等の「バッテリー問題」は、どんどん解決へと向かっている。今後十年でバッテリーの性能とコストは大きく改善し、とりわけ「走行距離の短さ」と「価格の高さ」というEVの欠陥はほとんど解消されるだろう。むしろ現行のリチウムイオン電池は過渡的な存在であり、20年度までには次世代電池が市場の一角を占めていると思われる。

その頃までに、セダン型の大衆仕様EVで、100万円台が登場する可能性もある。むろん、ランニングコストは内燃車よりもはるかに安い。つまり、EVは経済性で現行車を圧倒的に引き離す。これは爆発的普及の転換点の到来を意味する。また、家庭やオフィス用の蓄電池の普及を一気に加速させることにも繋がり、電力システムの変革も進むだろう。これらは20年度までに現実化するだろう。

余談だが、車両搭載用としては、バッテリーパック交換方式も提唱され、一部で試験されている。メリットしては、充電時間が不要、車体価格を安価にできる、EV時代になっても給油所の仕事が維持される等が挙げられる。

私は、バッテリーの性能とコストの改善だけでなく、この交換方式のアイデアにも賛同している。というのも、これは運送用トラックに向いているのではないかと考えるからだ。トラックは荷物を積載し、長距離を走らねばならない。目的地への走行中は悠長に充電などしてられず、EV化が難しい。

よって、たとえば、半分を内臓蓄電池、もう半分を交換式蓄電池にする。市街地は内臓蓄電池で走り、高速道はSA・PAでパックを次々と交換することで一気に走破できるようにする。電動トラックは是非とも、このような併用方式の開発も一考してほしいと思う。

(*以上は掲載した企業・大学のプレスリリースを参考にした)

バッテリー以外でも改善が進むEV

むろん、EVの性能はバッテリーだけで決まるわけではない。走行距離を伸ばすためには地道な方法があるのみで、奇跡はない。その他の改善点も見てみよう。

第一に、もっとも普遍的な対策が軽量化だ。EVはエンジン高温がないという利点があり、非金属の素材を採用することが可能だ。炭素繊維複合材料は鉄の四分の一の重さで、強度は十倍と言われる。フレームにカーボン、ボディにプラスチックまたカーボンプラスチックなどの軽量素材を使うことで、その部分の重量は半減することができる。

第二に、駆動系は極限まで絞る。これは摩擦を減らすことや、部品点数を減らすことにも繋がる。むろん、軽量化にも繋がる。モーターショーでは何度か展示されているが、インホイールモーターを採用したEVの本体は、二次元のようにフラットである。床に蓄電池が敷き詰めてあり、その上に座席やハンドルが載る形になる。もともと幕張のモーターショーで展示されていた三菱アイミーブの原型車もインホイールモーター式だった。今後、モーターのレアメタルフリーによって、タイヤとモーターの一体化方式が普通になるだろう。ただし、部品産業が大幅に淘汰されてしまうので、救済策が別途必要だ。

第一と第二は、車を動かすのに必要なエネルギーを減らしていく策ともいえる。一般にエネルギーとは「ある仕事をする」ことを指す。「ある重さのモノを、ある距離だけ動かす」ことにも例えられる。同じ1ℓのガソリンを燃やしても、単車のスーパーカブなら80キロを走れるが、中型セダンなら20キロがせいぜいだ。この違いが主に両者の重量差から来ていることを思えば、軽量化の重要性が理解できよう。現在、EVは同じ車種の内燃車に比べて約1割増しなので、軽量化しないことには内燃車に勝ることはできない。

第三が、ボディの太陽電池化だ。これはすでに試作車としてある。市販車でもプリウスのオプションとしてルーフ式太陽電池がある。一般に、EVと太陽電池は非常に相性がよい。なにしろEVはデフォルトで蓄電池搭載だし、ルーフとボンネットの日照もよい。有機薄膜やシリコン薄膜の塗装型太陽電池と、ガラス窓型の太陽電池を併用することにより、EVはほぼフルボディで太陽電池化が可能だ。薄膜系は10%程度の発電効率がある。EVは日光を浴びることで、0・5kW程度の自家発は可能かもしれない。

現在、EVを住宅用の蓄電池として利用する試みが始まっている。夜間に蓄電し、昼間に放電するだけで、家庭の電気代を大きく削減することができる。仮にEVの車体が太陽電池化すれば、自家用ソーラー発電機としても利用できるし、また停電時・災害時の電源やアウトドアにおける移動式の発電所としても使えよう。

第四が、車内空調の工夫だ。周知の通り、EVには電力消費を倍化させる「エアコン問題」が存在している。冬場は将来的にモーターの熱を利用していく形になるだろうとして、問題は夏である。できるだけ電気を使わない方法として、「保冷材方式」と「クーリングコイル方式」がある。保冷材は冷熱を使い切ると、凍らせる際にまた電気がいる。ただし、ぶっ続けで何時間も運転する人は珍しいだろうから、最大2~3時間もてばよいと思う。クーリングコイルは薄い放熱フィンに覆われた管のことで、要は気化熱を利用する機械式冷房だ。水タンクを搭載して、ミストを併用すると冷房効果がグンと高まる。室内を負圧にして冷風を引き込む際に小さな電力がいるので、走行中の空気抵抗を援用する工夫がほしいところ。あとは苦肉の策として、独自電源で動く小型扇風機やポータブル空調機を車内に置く選択肢もある。

第五に、これは次回に「スマート道路構想」として詳述するが、インフラのほうを改造する方法だ。実際に研究されているのが、マイクロ波を使った無線充電だ。一方、私が提案したいのが「信号待ち充電」である。信号前の停止線から非接触式プラグを車線中央のライン上に埋設する。たとえば、幹線道路では、赤信号で停車すると、前から5台分くらいがプラグ上にくる格好にする。無理はせず、充電量はせいぜい数百Wに留める。これでも赤信号で止まる度に充電すれば、少なくとも蓄電量が減らない、又減りにくい。これが目的だ。なぜなら、蓄電量が減らなければ、それは蓄電池の容量アップと同じことだからだ。しかも、その電力はというと、道路・歩道自身――正確にはそこに設置した太陽光・風力発電機――から調達する。最終的には、日本の全自動車を走らせるのに必要なエネルギーの大半を、自動車自身と道路から調達する――それがこの構想の目的だ。

このように、いかにEVの性能を上げ、走行距離を伸ばすかということについて、何らかの奇跡的な方法があるわけではなく、結局、地道な方法、改善、そして知恵と工夫があるのみだ。しかし、先駆者としてやり遂げた後には大きな先行者利益が待っているはずだ。

人は「ちょっとした想像力の欠如」で大きく予測を外す

以上、結論をいえば、「価格が高い」「走行距離が短い」などのEVの欠点は、遠からず解消される。「街中の充電場所が少ない」は、今言ったようにインフラ側の問題であり、これは社会として解決すべきであり、私からも次回に策を提案する。

おそらく、今から十年後には、EVは車体価格が比較的安く、走行距離も十分で、ランニングコストも安いということで、すっかり市民権を得ているだろう。その上、高級車のように静かで、スポーツカーのように加速があり、自然エネルギーなどを使うことで持続可能とすれば、明らかに現行車よりも一段上の次元にある自動車と言わざるをえない。

考えてみれば、これは必然だ。現行のガソリン車やディーゼル車は、ほぼ進化の究極に近い。小さな改良の余地はあるが、劇的な改善の余地はない。それに対して、本格的に市場デビューしたばかりのEVは、まだまだ伸びしろがある。脱石油対策という視点でいえば、バイオ燃料車や天然ガス車でもいいような気がするが、しかし、燃料が石油と異なるというだけの存在で、本質的な意味での「次世代車」ではない。これらの内燃車自体を、EVというまったく新たな自動車が後ろから追い越そうとしていると理解すべきだ。

今現在、EVの販売が苦戦している。対して、HV車は好調で、今や日本における自動車のスタンダードになりつつある。この現状を指して、マスメディアはEVがさも失敗商品であるかのごとく書き立てている。彼らに共通しているのは、目先のことしか見ていない点だ。眼前の現象を追うのが仕事だからやむをえないのだろうが、少しでも中長期的な視点を持てば、結論はまったく変わってくるはずだ。2020年、日本の新車の大半が“実質電気自動車”になる」でも述べたが、そもそも彼らは、HV車がほんの5kWh程度のバッテリーを追加するだけで実質EVに変身する事実すら知らないのではないか。

私には、昨今のEV論争は、まるでデジャヴだ。人はどれほど先見の明に欠けるか? そのいい例証となったのが、デジカメ草創期に掃いて捨てるほど沸いた否定論者たちだった。

本人は都合よく忘れているだろうが、発売当初、「デジカメなんて使えない」と自信満々で豪語する人が実にたくさんいた。私の周囲でも、カメラに詳しい人ほど「使えねえ」とこき下ろしていた。理由を訊くと、画質があまりに悪いからだという。たしかに、画像が滲んでいて、まるでピンボケ写真のようで、とうていフィルムカメラの水準には及ばない。

しかし、画質などというものは改善すればすむ話である。私は素人ながら、「この“画素数”とやらがどんどん増えていけば、最終的にフィルムカメラの画質に並ぶのではないか。そうすると、デジカメのほうが総合的に便利になり、普及するのではないか」と、そのつど指摘した。すると、返ってくる反応は、たいていニヤニヤした笑みだった。

その後の経緯は詳述するまでもない。デジカメの画素数はあれよあれよという間に向上し、それにつれ販売台数も急増し、ある時点から爆発曲線を描くようになり、とうとうフィルムカメラを駆逐してしまった。ついでに否定論者もどこかへ消えてしまった。

今現在、「EVなんて使えない」と、実に自信満々で豪語する人がいる。その根拠はと訊くと、「走行距離が短いし、値段が高すぎるからだ」という。

私は意地悪ではなしに、純粋に疑問に思うのだが、このような人は「蓄電池の性能とコストが少しずつ改善していく」というふうには考えないのだろうか。そして、その地道な改善の積み重ねの先に、どういう結果が待ち受けているか、一切想像しないのだろうか。

正直いって、私にはそれが不思議でならない。このような人は、想像力がまったく欠如しているとしか思えない。

中には、デジカメの急速な品質改善は微細化技術の革新に拠るもので、EVにはそのまま当てはまらないと言う人もいるだろう。だが、欠点があり、それを克服しようとする大勢の技術者たちがいる点では、EVはデジカメと同じか、それ以上ではないだろうか。

よく考えてほしい。初の量産EVたる三菱アイミーブが発売されたのが09年だ。その後に日産リーフが続き、今年12年度からようやくトヨタ、ホンダ、マツダもEVを投入した。つまり、09年が発売元年、12年度が全社ラインナップ…という、まったく生まれたての商品なのである。それが完璧でない、ガソリン車に劣る、という理由で全否定にかかるのは、赤ん坊を指して非力だと嘲笑っている滑稽さに似ていないか。

思えば、戦後に売り出された日本製の大衆車は、エアコン無しはおろか、坂道を登れるかすら怪しい代物だった。当時はアメ車の全盛期で、テールフィンをつけた大型車がステイタスだった。アメリカ人はその頃の日本車を見て「おもちゃの車みたいだ」と思ったそうである。ところが、数十年後にはその日本車がアメリカ市場を席巻していた。現在、日産のゴーン氏は、EV社会の到来を確信し、会社の経営資源をEV生産に投入している。「EVは使えない」と豪語する人たちは、ゴーン氏よりも先見の明があるのだろうか。あるいは、十年後にEVがどれほど進歩するか、一切想像しないのだろうか。

おそらく、彼らはデジカメ否定論者と同じ運命を辿ることになる。十年後には必ず言い訳しなければならない羽目に陥るだろう。老婆心ながら「君が思っているよりも、世の中の進歩は、はるかに早いのだ」と忠告してあげたい。日本の技術者の底力だけは信じてもらいたい。

鍵はやはり急速充電器の全国的普及である

では、結局、EV普及の障害となっているものは何だろうか。たった一つ「充電器の未整備」である。常時、電欠を恐れなければならないとしたら、経済性以前の問題だ。その不安を解消しない限り、いくら車体価格が安くなっても消費者は動かない。ただ、逆にいえば、これさえ整備すれば、あとは市場まかせでも勝手に普及していく。そうすれば、きっと20年度までに爆発的普及の転換点が訪れるだろう。

次回は、この急速充電器の経済合理的な普及法も含めて、世界初、自動車エネルギーの地産地消を目指す「スマート道路構想」を提案したい。

2012年12月21日「アゴラ」掲載

スポンサーリンク




タイトルとURLをコピーしました