みなさん、こんにちは。
『ノストラダムスの大予言』で日本の予言研究をリードされきた故・五島勉氏ですが、得意だったのは「ユダヤ・キリスト教系の予言」でした。
ただ、それと離れたテーマであっても、いろいろ研究されていました。たとえば、「ヒトラー予言」や「聖徳太子予言」などがそうです。
なお、五島氏の「ヒトラー予言」は、私は五島氏による「でっち上げ」だと思っているので、まともに取り上げたことはありません(笑)。
実は、そんな五島氏が研究の終盤のほうで目を付けた“予言者”こそ、意外にもH.G.ウェルズでした。
あのイギリスの元祖SF作家のウェルズですよ。
時間旅行を描いた『タイムマシン』や、火星人による侵略を描いた『宇宙戦争』などが有名ですね。
五島氏が着目したのが、1933年刊行の『The Shape of Things to Come』(邦題として『世界はこうなる』と『地球国家2106年』の二つあり)です。
この本は、フィリップ・レイブン博士なる、ウェルズの亡くなった知人が残した「予言的手記」という体裁を取っています。その彼がなぜか2106年までの人類史を振り返っている。
そこには人類が様々な試練を経験しながら「世界国家」を作り上げていく「歴史」が描かれていた、とそういう内容です。
もちろん、実際の作者はウェルズ自身です。彼が持てる想像力を駆使して、22世紀初めまでの人類の歩みを予測してみせた――それがこの作品の本質です。
全体として、ユートピアを待望するウェルズの理想主義と、現実の人類社会に対するリアルな視点とのバランスのとれた壮大な「架空人類史」に仕上がっています。
実際、1933年といえば、ちょうどヒトラーが独裁者になって間もない頃であり、又、日本が満州撤退決議に抗議して国際連盟を脱退した年でした。
その後、日独が戦争に突入し、米ソと戦うことや、ミサイルや原爆が登場することなど、短期的な予測に関しては、ウェルズはかなり正確に未来を言い当てています。
謎のアーモンドの花の四行詩
五島氏のユニークな点は、物語内の極めて特異な点に着眼したことです。
それは、架空の「世界最終戦争」における、架空の「歴史資料」です。
レイブン博士いわく、奇妙なことにこの戦争に関する「ヨーロッパ人の文献がない」ために、博士は当時を物語る興味深い「歴史資料」として、中国戦線で死亡した日本軍将校の「ダイイング・メッセージ」(死に際に記した文字等)を“引用”してみせています。
それは「アーモンド・ブロッサム」という冒頭から始まる次の詩でした。
(原文)
Almond blossome in the spring sunshine.
Fuji-Yama gracious lady.
Island treasure home of lovely things,
Shall I never see you again?
この英文が、なぜか日本語版では以下のように翻訳されていました。
(訳文)
うららかな 春の日に ももの花 さく
美しく けだかき婦人 そは 富士の山
愛しき 数々の思い出 うましたからの島
ふたたび 見られぬは そなたの顔か
と和歌風。五島氏はこの「翻訳」に引っかかりました。
実際、原文の「Almond blossome」は「アーモンドの花」以外に翻訳しようがない。
それを翻訳者のY氏が、なぜか「桃の花」に変えてしまった。
五島氏が調べたところ、“某国諜報機関”から「アーモンドの詩には手を出すな」と圧力がかかったがために翻訳者が故意に誤訳せざるをえなかった事情が浮かんでくる。
なんでも、日本の未来のため、世界の未来のために、「アーモンド」という言葉を訳文に入れてはいけない、日本人には絶対教えてはならん、というのである。
いったい、なぜなのか? 五島氏は真相を追及していきます。
アーモンドの花は「アロンの杖」に咲いた
ここで唐突に私の経験を述べると、「アーモンドの花」は、日本人が大好きな「桜の花」にそっくりです。初めて見た時、私はてっきりサクラが咲いていると勘違いしました。
植物に詳しい人なら見分けがつくのかもしれないが、私のように疎い日本人なら、「アーモンドの花」を見て、まず「桜の花」だと錯覚するだろうと思う。
実はこの「アーモンドの花」が登場する場面が旧約聖書にあります。
それはモーゼを先頭にしてエジプトを脱出したユダヤ民族が、まだ放浪の旅を続けていた頃。食べ物などの不満から、民衆がたびたび反乱を起こします。
民族の団結が幾度も危機に陥った。
そこで神は、誰が指導者かを改めて示すため、12部族を象徴する12の杖にそれぞれの代表者の名前を書かせて、契約の箱(アーク)の前に置かせた。
「明くる日、モーセが掟の幕屋に入って行き、見ると、レビの家のアロンの杖が芽を吹き、つぼみを付け、花を咲かせ、アーモンドの実を結んでいた。」(民数記17:23)
レビ族というのは、儀式や献納物の管理など、信仰に関わることだけを仕事とするよう神から命ぜられた一族で、出エジプト以降は、契約の箱が置かれた移動神殿「臨在の幕屋」の維持運営を一手に引き受けていた。
農工商が禁じられた代わりに、献納物の一部が報酬となる。また、それゆえ彼らだけ自宅以外の土地の所有が禁じられていた。レビ族とはそういう一族です。
五島氏の脳裏に閃いたのは、まさにこの場面でした。
そしてレイブン博士(=ウェルズ)が、この日本軍将校の「ダイイング・ポエム」(?)を取り上げてみせた理由を、次のように推測してみせます。
「神がアロンの杖にだけ花を咲かせたように、実はあらゆる欧米の国をこえて、日本に花が咲くことを、ウェルズは予見した。この予言の暗示が分かる欧米エリートは、日本を抑え付けておくためにも、気づかせないようにした」と。
だからY氏に圧力をかけて誤訳させたのだと・・・。
ウェルズは世界支配層のメンバーで、作中の“日本軍将校”とは自身のことだった
さて、以上のような「五島説」に接した時、私も「なるほど」と唸るものがありました。
以下は、五島氏が一切触れなかったことだが、よい補足になるかもしれません。
実は、H.G.ウェルズには「裏の顔」がありました。
元MI6のジョン・コールマン博士によると、ウェルズは世界支配クラブたる「300人委員会」のメンバーとして抜擢されていたらしい。
なんと、あの「300人委員会」のメンバーだったんですね。
ウェルズは、単なるSF作家にとどまらず、そのフューチャリスト(未来学者)としての才能と、大衆への影響力を買われて、世界支配層から将来の「世界政府の理論的指導者」の一人として重宝されていたのでした。
実際、ウェルズは、コスモポリタンや進歩的知識人としての立場から、ノンフィクションも多数記している。また、世界政府主義者、フェビアニスト(漸進的社会主義者)、ユートピア思想家であり、国際連盟の提唱者の一人でもありました。
あの「ニュー・ワールド・オーダー」という用語も、実は彼が1940年に刊行した書物の題名だった。彼は「NWO」をもっとも早い時期に使用した人物でした。
そのウェルズが全力を尽くして予測した未来の一コマに、なぜか「日本+アーモンドの花」のエピソードがあった。しかも、こんな記述がある。
「かれ(日本軍将校)は知識人で、社会主義者で、国際連盟の強い信者である。そして、彼の記録は最高司令部の暗号で書かれ、内容は主として、戦争批判である」
なんのことはない。物語中の“日本軍将校”とは、ウェルズ自身か、もしくは分身なのだ。
そして聖書の一節を使って、欧米の教養人なら洞察するであろう暗喩を込めたわけです。
実は、これは、H.G.ウェルズ的には、かなりヤバイ話でもあるんですね。
なぜかというと、欧米・西側諸国の裏にいる支配層は、自分たちのことを「アロンの子孫」と、陰で自称しているんですね。
そう思い込んで、誇っているんですよ。
だから、支配層のメンバーが「どれどれウェルズ君の最新の小説でも読んでみるかな」と、この本に目を通したところ、明らかにウェルズと思われる人物が、なぜか、日本に「アーモンドの花」を咲かせている、日本風にいえば、日本に花を持たせている。
「なんじゃこりゃ!?」となりますよ。
「神は日本を選んだ」とか、「日本人こそ新たなアロンでありレビ族だ」とでも言いたいのか、ウェルズ君は!てなもんですよ。
だから、「あらゆる欧米の国をこえて、日本に花が咲くことを、ウェルズは予見した」という五島氏の推理は、すごくいい線いっていると思うし、またH.G.ウェルズも、欧米支配層の仲間たちから疑われるような危険な真似を、よくやったなと思います。
この作品を書いたとき、もう70前だったからかもしれませんが。
なぜ彼が、回りくどい暗示を使って、「私は日本こそアロン&レビ族だと思う」というメッセージを、欧米教養層に示唆したのか、その動機までは分からない。
ただ、彼は「世界支配層側」つまり「新世界を設計する側」にいたので、一般には知られていない特殊な情報を入手していた可能性は、大いにあります。
『死海文書』と『霊界物語』が2千年の時を超えてつながる
さて、五島氏が触れなかったもう一つの要素として『死海文書』(Dead Sea. Scrolls)」が挙げられます。
もっと言えば、同書に出てくる「アロンとイスラエルのメシア」のことです。
この「アロンのメシア」という表現は、今の聖書にはない表現で、「死海文書」独特と言われています。実際、私も聖書でこの表現を見た記憶は一度もないです。
終末に、アロンの子孫から出てくるメシアと、ダビデの子孫から出てくるメシア、の二人のメシアがやって来て救いをもたらす、というのが「死海文書」の予言です。
ところで、エドガー・ケイシーが、『死海文書』が発見される11年も前から、クムラン教団とイエスの関係についてリーディングしていました。
このクムラン教団は、魂の不滅と輪廻転生を信じるユダヤ教「エッセネ派」の一派です。そして、ケイシー・リーディングによると、クムラン教団は「預言者の学校」であり、彼らが救世主イエスを準備したそうです。
また、バプテスマのヨハネと、彼の後輩のイエスは、共にメシアとして選ばれた存在だったそうです。
ですから、本当は当時、メシアが二人登場していたんですね。
後の教会権力が、政治的理由からでしょうか、イエスだけをメシアにしてしまったようです。実は、ヨハネをメシアとして崇拝する異端の「マンダ教」というのが中東の片隅にあります。
で、この『死海文書』のいう、終末に現れる「アロンとイスラエルのメシア」ですが、実は現代の日本人であり、しかも、ヨハネとイエスの「転生者」のことではないか、というのが私の説なんですよ。
私がそう思った理由ですが、実はまったく無関係に思える日本の預言者・出口王仁三郎を調べていて、彼の奇妙な予言に接したからなんですね。
王仁三郎は著書『霊界物語』の第1巻・二四章でこう述べています。
「神世開基(ヨハ子)と神息統合(キリスト)は世界の東北に再現されるべき運命にあるのは、太古よりの神界の御経綸である。」
で、その下の文章も読みます。
「天に王星の顕はれ、地上の学者智者の驚嘆する時こそ、天国の政治の地上に移され、みろく仁愛神政の世に近づいた時なので、これがいはゆる三千世界の立替立直しの開始である。」
こんなふうに、「神世開基」という漢字には「ヨハ子」、「神息統合」には「キリスト」のルビを振っている。
で、「世界の東北」とは、ズバリ、日本のこと。
どうやら、王仁三郎は、まず神の世を開く「先がけのヨハネ」と、それを統合する役の「キリスト」の二人のメシアが、日本から現れると、予言しているようなんですね。
で、私は、どうやら、これが『死海文書』のいう、終末に現れる「アロンとイスラエルのメシア」のことではないか、と思うわけですね。
私もまさか『死海文書』と『霊界物語』が繋がるとは、想像外でした。
なお、下側の記述は、要するに、ベテルギウス爆発を指しているのだろうと。
イエスはキリスト教では「王」Kingに例えられるので、この王星、王の星は、終末の時に現れる天の徴(しるし)を指していると思います。
「人の子の徴が天に現れる」というイエス予言に対応しているわけですね。
イエスが生まれた時も、「ベツレヘムの星」が出現しています。再臨の時も同じ。
私は過去に、「イエスが救世主としてすでに日本に再誕した」と力説してきましたけど、どうやら「先がけのヨハネ」も再誕しているようなんですね。
2千年前、ヨハネとイエスは、中東で、メシアとして顕れました。
その二人が、王仁三郎いわく、日本で再現される。
それが神様の計画なんだと。
私が思うに、二人が2千年前にユダヤ王国でやったことは、人類救済の「ひな形≒縮小版」で、近未来に地球規模で行う人類救済活動こそが、実は本命なのではないかと。
『霊界物語』からは、驚くべきことに、その時期まで浮かんできます。
王仁三郎は、「ヨハネ」とルビをふるべきところに、わざわざ「ヨハ子」という字を当て、それが「ネズミ年」であることを示唆しています。
つまり、神の世が開かれるのは2032年ということですね。
わくわくしますね(笑)。
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