前回(下)の続きです。歴史には裏から見ないと解けない謎がある。
この話は、とくに韓国人の皆さんに読んでほしい。そして、十分に注意してほしい。世界支配層は、朝鮮半島をまた地獄に突き落とすかもしれません。
さて、アチソン・ラインAcheson Lineはなぜか、韓国と台湾を除いて、日本列島から沖縄、フィリピンへと至る「島しょ防衛線」という形でした。
アメリカが李承晩と蒋介石にうんざりしたんじゃないか、という話でしたね。
前回は台湾編。今回は韓国編。
そして、恐ろしい結論です。
愚劣な独裁者だった李承晩
韓国初代大統領の李承晩は、稀にみる劣った指導者でした。
もともと韓国には、ド・ゴールの自由フランスのような受け皿がなかったために、戦後は国連信託統治になり、3年間の米軍政が敷かれました。
で、この辺りはちょっと複雑なんですが、そのまま南北が分断され、いわばアメリカの代理人という形で、公正ではない選挙を経て、李承晩が大統領に就任します。
この男がとんでもなかった。就任する前から、いきなり暴君全開です。
たとえば、1948年4月から済州島で自国民を大量虐殺します。いわゆる「済州島事件」ですね。その後も各地で反体制派や共産主義者の疑いのある人々を虐殺し続け、朝鮮戦争中にはアカ狩りの「保導連盟事件」で、一説によると百万人弱の自国民を虐殺したとも言われています。
このような済州島での虐殺と朝鮮戦争により、大量の韓国人が難民として日本に逃れてきました。在日韓国朝鮮人の何割かはその戦後難民とその子孫と言われています。
「韓国を連合国に入れろ」「対馬は韓国領だ」
ところで、日本と連合国との間に平和条約を結ぶ交渉がスタートしますが、李承晩は「韓国を連合国に入れろ」と要求します。
当たり前の話ですが、米英から冷たく一蹴されます。
臨時政府なる団体は一度も日本軍と交戦していませんし、各国から承認もされていません。「金九が正式に対日宣戦布告した、その文書が証拠だ」などと鬼の首を取ったみたいに主張する者がいますが、金九はその文面作成にあたり噴飯モノのミスを犯しています。しかも、日本側に通告していないとか・・。おそらく終戦間際になって慌てて捏造したものでしょう。これに関しては趣旨から外れるので、また機会を改めましょう。
こうして、のちに日本と連合国との間にサンフランシスコ講和条約が締結されます。
一方、李承晩の要求はエスカレートしていきます。犠牲を払って日本帝国を打ち負かしたアメリカでさえ日本に対しては領土要求をしませんでしたが、李承晩は戦勝国ヅラで竹島と対馬の割譲を要求します。しかも、本命は「対馬」です。
竹島に関しては、アメリカとしてもいろいろと調査したらしく、最終案では「竹島が韓国領だったことは歴史的に一度もない」と、韓国側に正式に回答しています。
実際、それが事実なのだから、韓国人が竹島を自国領と信じ切っているのが異様です。国家権力によって洗脳された人間は本当に怖いと言わざるをえない。
こうして、李承晩はGHQのマッカーサーや米本国とも揉め事を起していきます。
ある二つの仮説
さて、1950年1月、アチソン国務長官はいわゆるアチソン・ラインを示しますが、これは共産主義勢力の軍事侵略に対する「不後退防衛線」という趣旨でした。
ただし、トルーマン政権の対共産主義「封じ込めContainment」政策ですが、どうもこの「封じ込め」はニュアンス的に誤訳らしい。原語にはそこまでの強力な意味はなく、本当は「囲う」程度の意味だそうです。
では、このアチソン・ラインは、李承晩にうんざりしていたマッカーサーとアメリカが韓国を見捨てた、というのが正解なのでしょうか。
実は、第一に、そのラインが38度線ではなく、朝鮮海峡(対馬と韓国の間)に敷かれたのは、対馬侵略を表明した李承晩の姿勢も念頭に置いた声明だったという説があります。つまり、共産主義陣営だけでなく、韓国の対日侵略に対するけん制の意味もあったということですね。そもそも、李承晩の本命は九州だったという説もある。
第二に、もう一つよく言われているのが、1950年の前半、李承晩は対馬を侵略するために軍の主力を南方に移動していて、その隙を金日成に突かれた、というものです。他方で、そうではなく、首都防衛が手薄だったのは、例の国内弾圧、とくに南部の反抗地域を制圧するためだったともいう。これらに関して、私自身は(調査不足もありますが)確固たる一次ソースを知りません。間接的な記述ばかりで真偽は分かりかねます。
いずれにしても、仮に李承晩が対馬を侵略していたら、日本人を大量虐殺していたことは間違いありません。なにしろ自国民でさえ平気で大量虐殺する独裁者ですから。
この男は、朝鮮戦争が始まると、責任も指揮権も放棄して真っ先に逃げます。九州に逃げ込んで、亡命政府を作ろうとしたという。ここから、もともと対馬を橋頭堡として九州を侵略する予定だったという説も、あながち真っ赤なウソとは思えません。
ただし、第二はともかく、第一の話は疑問だというのが私の考えです。
「見えざる政府」The Invisible Governmentとユダヤ人バーナード・バルーク(Bernard Baruch)
さて、前回の記事と合わせて、ここからが結論です。
欧米支配層にとって、共産党軍に惨敗して台湾に逃れた蒋介石など、もうどうでもいい存在と化したことは、前回に触れました。
実は、同じ様に、1950年の初頭、彼らにとって、どうでもいい存在というか、もはや厄介者だったのが李承晩だったのではないか。
つまり、アメリカが李承晩と蒋介石にうんざりしていたのも事実ですが、それ以上に、それはトルーマン政権の背後にいる世界支配層の考えだった、ということです。
トルーマンは「見えざる政府」The Invisible Governmentの使い走りでした。当時、ホワイトハウスの真のボスは、ウッドロウ・ウィルソンの頃からバーナード・バルーク(Bernard Mannes Baruch)でした。ユダヤ人のバルークは、第一次大戦中に軍産複合体の原型となる戦時産業委員会War Industries Boardの委員長を務めました。さらに、大統領顧問としてベルサイユ会議に出席し、同じユダヤ人仲間と談合を重ねました。
彼らが国際連盟を作った時、地のアメリカ議員たちは、自分たちが騙されて参戦させられたことに気づき、猛烈に抵抗して、アメリカの連盟入りを潰しました。
次の大統領のアイゼンハワーも、バルークの子分でした。そもそも、彼がアイゼンハワーに目をかけて、連合軍最高司令官に推したというべきでしょう。
こんなふうに「裏」から見ると、アチソン・ラインとは、本当は何だったのかが、なんとなく見えてきます。バルークたち世界支配層は、孤立主義に傾いていたアメリカを、第一次世界大戦、次いで第二次世界大戦に参戦させることに尽力しました。
すると、トルーマンからアイゼンハワー時代へと続く朝鮮戦争もそうだったのでないかという仮説が浮かんでくる。
それはバーナード・バルークの考えた「役立たず」の最後の利用価値だった・・・
つまり、アチソン・ラインがあえて台湾・朝鮮半島・インドシナを除外したのは、最初から共産勢力をおびき出して戦うための罠だったのではないか、と・・。
これに関して、二点補足しておきます。
第一に、当時のインドシナは、ベトナム独立軍(ベトミン)とフランス・傀儡南ベトナム軍との戦争の最中でした(第一次インドシナ戦争)。そして、まさに1950年1月、ソ連と共産中国がホー・チ・ミン政権を承認し、武器援助に動いたところだった。つまり、共産勢力側が南を圧倒しようとしていた頃だったんですね。
第二に、ややこしいのですが、もともと共産勢力を作ったのも「見えざる政府」です。日露戦争で日本側を資金面で支えたヤコブ・シフは、トロツキーを通してロシア革命や第一次五カ年計画も支援していました。なぜそんなことをしたのか、理由は又の機会に述べるとして、ポイントは、スターリンが裏切って専制君主化したことにより、結局、ソ連は「見えざる政府」の統制から離れてしまった、ということです。(以下参考記事)
ヒトラーも同様に「見えざる政府」を裏切った人間だったんですが、これも後日。
つまり、この時期の世界支配層にとって、台湾・朝鮮半島・インドシナの三つは、もはやどうでもいい地域だったので、戦争の発火点として利用したということです。
大戦後の5年間、軍事費の縮小が続いていたので、ここらで一丁景気づけをやろうかという思惑もあったのではないでしょうか。新たな戦争を引き起こすこと・・・それがアチソン・ラインの真意だったわけです。
もちろん、誤解のないように言っておきますが、「アメリカ」としては朝鮮戦争なんかやりたくなかった。しかし、世界支配層はアメリカ人の命なんかお構いなしです。
そして、ここが現代に繋がってくるわけです。かつてのアチソン・ラインから、韓国が再び「役立たず」として世界支配層から突き放された場合、どんな扱いを受けるかも予想がつきます。折りしもトランプは「韓国を守ってもアメリカが得することはない」とか「韓国が在韓米軍の分担増に応じなければ軍を撤退させる」などと発言しています。
仮に「使えない」と見なされたら、韓国はまた戦争の発火点として利用されるかもしれません。そのために仕掛けられるのが「第二アチソン・ライン」というわけです。
で、この記事に繋がってくるわけです。
このように、世界支配層はアチソン・ラインで戦争を引き起こした前科がある。それは「彼ら」にとっては過去の成功体験です。彼らは欧米人の命ですら屁とも思っていない。どうすれば再び生贄として利用されないか、韓国人自らがよーく考えてほしい。
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