「ウェスリー・クラーク元アメリカ陸軍大将 General Wesley Clarkが語る中東問題の真相」の衝撃
ウェスリー・クラーク将軍といえば、2007年3月の次のインタビューで一躍有名になりました。(以下翻訳版)
クラーク氏は1997から2000年まで、コソボ戦争の際にNATOの欧州最高連合司令官(Supreme Allied Commander)を務めました。2003年には民主党の大統領候補に立候補しましたが、翌年自ら撤退しました。それほどの要人です。
クラーク氏自ら暴露するところによると、こうです。
例の「9・11」事件からまだそれほど経っていない2001年9月20日、クラーク氏がペンタゴンに赴くと、いきなり他の将軍から「われわれはイラクと戦争することに決定しました」と聞かされます。
クラーク将軍は驚いて聞き返した。「なぜ?」と。
ところが、不可解なことに、その将軍も「私も知りません」と言う。
同時多発テロの犯人とされたアルカイダとサダム・フセインとの繋がりが見つからないのに、なぜか上のほうがイラクと戦争するというのです。
それから2、3週間後、その頃すでにアフガンへの空爆が始まっていたが、クラーク氏は再びペンタゴンでその将軍と会います。
「われわれはまだイラクと戦争するのかい?」
「それよりもっと悪いです」その将軍はそう言って、机の上から一枚の文書を手にとった。「上の階(国防総省オフィス)から回ってきたものですよ」
そこには、信じ難いことに、「今後5年間のうちに7カ国をやっつける(going to take out)」などと記されていた。それが以下の中東の国々でした。
「イラクからはじめ、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最後にイラン」・・・。
イスラム革命防衛隊の反撃と、軍事侵略の次策にすぎなかった「アラブの春」
これが2001年のペンタゴン内の話。そして、2017年になろうとする今から振り返ってみると、これらの国々はどうなったでしょうか。
まだ西側による侵略や内乱内戦の扇動の標的になっていないのは、レバノンとイランだけです。それ以外の国々がどんな酷い目にあったか、又は今もあっているかは説明するまでもありません。おそらく、この二カ国に中々手が出せないのは、ロシアと繋がっているからでしょう。2001年の時点では、まだ大統領に就任して間もなかったプーチンがあれほどの反撃に出ることは予想外だったはず。
ただし、その代わり、上のリストになかったイエメンやエジプトが内乱で酷い目に会っています。全部、見事なまでにイスラエルの周辺ですね。
大本にあったのは、1989年のベルリン壁崩壊以降に立案された「見えざる政府」The Invisible Governmentの世界戦略です。その中の施策の一つが、計画者たちの間で「大中東構想」(The Greater Middle East project)などと呼ばれるものでした。それを具体化したのが、ネオコンのアメリカ新世紀プロジェクト(Project for the New American Century)だったんですね。ソ連崩壊当時、リチャード”ディック”チェイニーが国防長官、ユダヤ・シオニストのポール・ウォルフォウィッツは国防次官でした。
クラーク氏の話にもあるように、当初は2001年から5年以内に上記の国々をやっつける(going to take out)予定だったのですが、周知の通り、イラクの占領統治が泥沼化して米世論の風向きが変わります。実は、背後で暗躍したのがイランの「イスラム革命防衛隊」でした。イランにしてみれば、国の東(アフガン)と西(イラク)に米軍が進駐してきて、しかもブッシュ大統領とその取り巻きが「イランは悪の枢軸だから殺る! 次はイランだ!」などと公言しているわけですから、当たり前の話ですよね。
いかにイランが準大国といえども、東西から米軍に挟撃されれば短期間のうちに侵略されてしまいます。だから、イスラム革命防衛隊を使い、国家の総力を挙げて米軍のイラク占領統治を妨害したわけです。当然の自衛策です。あの占領下イラクの異常なテロの頻発と国内の分裂・抵抗・混乱は、これが大きな原因だったんですね。
ちなみに、イラン正規軍と革命防衛隊の関係は、戦前のドイツ国防軍と突撃隊・親衛隊の関係に例えれば分かりやすいと思います。革命防衛隊は通常軍事力もさることながら、特殊部隊と情報機関が強いと言われています。情報部はモサドと渡り合っていますから、強くなるのも当然ですね。日本の警察庁がイラン人を冷遇し続けているのも、アメリカのカウンター・パートから監視してくれとねじ込まれている面もあるという。
いずれにしても、革命防衛隊の大活躍?により、テロでの米兵の死者が急増して、米世論も厭戦気分へと変わります。それで「影の政府」はいったんブッシュ政権からネオコンをパージして、国務省・CIA主導の次策へと舵を切り替えました。
それが「アラブの春」the Arab springだったんですね。つまり、軍事力で倒すか、それとも政変・革命・内戦で倒すか、という違いなだけです。
現代のバーナード・バルーク(Bernard Baruch)たち
さて、クラーク将軍は、この「見えざる政府」The Invisible Governmentの関与を、実は上の公開インタビューの中で暗示していました。
彼はこう発言しています。
And he said, “I guess if the only tool you have is a hammer, every problem has to look like a nail.”
(そして彼は言ったんだ、「私が思うに、もし持っている唯一の道具が金槌だったら、すべての問題が釘に見えるだろう」とね)
このセリフは、その時のペンタゴンの将軍の発言を引用した形ですね。
実は、この独特の言い回しは、前回取り上げたバーナード・バルークのものです。
上の記事で述べましたが、ユダヤ人バルークは、第一次大戦中に軍産複合体の原型となる戦時産業委員会の委員長を務めた人物です。もちろん、2001年にはいません。要するにクラーク将軍は、バルークと同じような「超権力」が今も存在していて、対イラク戦争や7カ国占領計画を勝手に決めているのだと、言外に臭わせたわけです。
興味深いことに、クラーク氏の話は、例の映画監督アーロン・ルッソ氏の暴露とも被ります。時期も同じ2007年ですね。以下で記事にしています。
このインタビューで、ルッソは、ニック・ロックフェラーからの情報として、9・11をキッカケとした「対テロ戦争」なるものが世界支配層のヤラセであり、その大きな目的が中東地域をNWOに取り込むことと、アメリカを管理社会(警察国家)へと作り変えていくことだと暴露した。
同じく影の政府The Shadow Governmentに属するロックフェラー家の一員から、ルッソ氏は「9・11」事件の前に、中東をNWOに取り込む計画があることを聞かされていました。まさに「大中東構想」(The Greater Middle East project)のことですね。
さて、その後のクラーク氏ですが、彼はまたしても西側がISISを作ったことなどを暴露しています。だから、彼はシオニストじゃないユダヤ系なんですね。
(Wesley Clark: “Our friends and allies funded ISIS to destroy Hezbollah”)
ただ、一方で、クラーク氏は退役後、ジョージ・ソロスの出資する石油会社の重役に迎えられたりしているようです。
「見えざる政府」に膝を屈したわけではないことを祈りたい。
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