「ロシア革命は一石数鳥を狙った一大謀略だった」ということは先に述べた。
実は、これと同じことはNYの「9・11同時多発テロ」についても言える。
やはり「一石数鳥」を狙った一大謀略だったのだ。
その中身を見ていこう。
第一の目的「中東に対する開戦の口実を作って戦争を始める」
世界支配層は、中東で戦乱を起こし、米国を突っ込ませたいと考えていた。
ただ、米国世論が一致団結して戦争へと突き進むためには、「外敵」(の攻撃)は無くてはならない存在だ。ちょうど真珠湾攻撃後の米国市民がそうであったように。
多国籍ムスリム・ミリタントによる“スニーク・アタック”(卑怯な攻撃)を受けて何千人もの米国人が殺されたという「事実」さえ生じれば、大半の市民は中東に対する戦争の開始に何の疑問も持たないどころか、愛国心に燃えて戦争積極派に転じる。
当時、ネオコンの牙城PNAC(アメリカ新世紀プロジェクト)は「中東において民主化のドミノを起こす」と謳っていた。換言すれば「中東の独裁国家の打倒」である。当然、そのためには戦争が不可欠だ。そして巨額の軍事予算は軍産複合体を潤すだろう。
しかも、攻撃対象リストは「9・11」事件前に出来上がっていた。
これに関しては、テロ事件直後、他ならぬ米軍のウェスリー・クラーク元将軍(一時期はNATOの欧州最高連合司令官)が公開の場で証言している。
クラーク氏によると、「5年で中東7カ国を打倒するプロジェクト」だったという。
その7カ国とは、イラクからはじめ、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最後にイランである。
仮に陰謀論者でなくとも、この“第二の真珠湾攻撃”の発生が、偶然にしては出来すぎていると思うのは、当然のことではないだろうか。
第二の目的「すべての独裁国家の打倒」
これに関しては、先行する記事で述べた。
ただし、対象は中東諸国だけではない。
「9・11同時多発テロ」から数ヵ月後、2002年1月、ブッシュ・ジュニア大統領は、まだ米国民の集団的熱狂の余韻の中で、後に語り草となる一般教書演説を行った。
それがイラク、イラン、そして北朝鮮の三カ国を「悪の枢軸」(axis of evil)と名指しする演説である。当時、北朝鮮はイラクの次の標的だったのだ。
同じ頃、プーチンはまだ大統領に就任したばかりで、西側諸国に対してその牙を隠していた。西側の金融資本から多額の借金をしていたロシアは、前エリツィン大統領の「対西側従属路線」を順調に歩んでいるものと見なされていたのである。
他方、中国はまだ脅威とすら認識されていなかった。
世界支配層には「アジア人なんてみんな同じようなもの」という独特の偏見がある。
つまり、日韓台が民主化したように、中国も経済発展して中産階級が台頭すればいずれ民主化すると、漠然と信じられていたのである。
つまり、「9・11」事件当時、中ロはまだ西側の「敵」ではなかった。世界支配層は、アジアにおいては、あくまで北朝鮮一国を打倒する予定だった。
第三の目的「カスピ海から中東にかけての天然資源を押さえる」
クラーク将軍が「中東7カ国打倒計画」を知った時には、ブッシュ・ジュニア政権はすでにアフガンへの猛空爆を始めていた。当時のタリバン政権がテロの首謀者ビン・ラディンと彼のテロ組織アル・カイダを匿っているというのが理由だった。
しかし、アフガンが真っ先に「標的」として選ばれた理由は別にあった。
それが石油・ガス資源である。
1989年、冷戦が終結すると、世界支配層はカスピ海の天然資源を押さえにかかった(厳密には、いったんソ連に渡した権益を取り戻しにかかった)。
肝心なのは、その資源をアラビア海にまで輸送するパイプラインである。
西側の敵国であるイランを迂回しなければならない。だが、そのルートで敷設するためには、どうしてもアフガンを通る必要があるのだが、当時のタリバン政権がうんと言わなかったのだ。それで真っ先に彼らが打倒されることになったようだ。
興味深いことに、映画監督の故アーロン・ルッソは、かつて友人だったニック・ロックフェラーから次のような話を聞かされたと証言している。
「9・11の11ヶ月前に『これからある出来事が起こる』と言ったんです。それがどんな出来事かは言わなかったけれども、その出来事ゆえに我々はアフガニスタンを侵略して、カスピ海から(石油の)パイプラインを引くし、イラクを侵略して油田を確保し、中東に米軍基地を構築して、あの辺をニュー・ワールド・オーダーに取り込むと。」
中東地域をNWOに取り込む・・・つまり「影の政府」の支配下に置くということだ。
つまり、「9・11やらせテロ」事件――とあえて言う――には、世界支配層が中東からカスピ海にかけての天然資源を押さえる目的もあったということである。
第四の目的「イスラエルの安全保障」
さて、そうやって世界最強の米軍を使って、反抗的な中東諸国をまとめて処断し、制圧していけば、それは必然的に「どこかの国」にとって漁夫の利とならないだろうか。
むろん、イスラエルのことである。
上に述べてきた目的が達成されることによって、必然的に最大の受益者となるのはイスラエルである。果たして、これは偶然であろうか。
世界支配層にシオニストが合流していると考えれば、偶然と見なすほうが不自然だ。
つまり、これは「大中東構想」(The Greater Middle East project)でもあるのだ。
別の表現をすれば「大イスラエル」の建設ともいう。
その領域はナイル川からチグリス・ユーフラテス川にまで及ぶという。
しかも、根底にあるのは「神との契約」なのだ。大昔に「ユダヤ民族がいつか諸国民の王となる契約を神様と交わした」という話になっている。
つまり、「大イスラエル」ですら通過点に過ぎないのだ。
非「聖書の民」からすると「そんな身勝手な話があるか!」となるが、ユダヤ教徒にしてみれば「旧約聖書にそう書いてあるじゃないか」という次元の話である。
信仰とはこういうもので、信者と異教徒の主張はどこまで行っても平行線でしかない。
実は、ユダヤ地下政府サンヘドリンは、この「預言の自己実現路線」を延々とやってきた。つまり、Self fulfilling Policy(セルフ・フルフィリング・ポリシー)である。
ファンタジーだと思うなかれ。
イスラエル建国も、その「預言の自己実現路線」の一環だったのだから。
第五の目的「国際社会共通の外敵をつくる」
「影の政府」の究極の目標は人類社会の統一である。
本当は、人類を団結させるために一番よい方法は、異星人が侵略してくることだ。これは計画として存在していて、レーガンやキッシンジャーも公言したことがある。
これに関して、私は、にわかには信じ難い、異常な裏話も耳にしているが、ここでは公開しない。一つ明かすと、本当にUFOの船団が襲来してきても、私は驚かない。
大きなヒントになったのが、実は旧日本軍の真珠湾攻撃である。その瞬間、米国の内部対立はすべて解消し、対日戦に向かって国内の世論が一致団結した。
同じように、互いに利害対立している国際社会を一致団結させるには、世界の市民が共通して「外敵」と認識し、憎み、戦いたいと思う存在が現れればよい。
ただし、異星人襲来の自作自演はまだ難しい。それに代わるのが「多国籍から成るテロ組織」である。この辺はよく思案されていて、たしかに一国の出身者から成るテロ組織だと、世界の人々は中々「外敵」というイメージを持ち辛い。しかし、多国籍だと、既存の国際社会の外に位置するアウトローグループとの印象を与えることができる。
しかも、イスラム原理主義に基づくムスリム・ミリタントという存在は、とりわけ欧米社会の憎しみと偏見をかき立てるのに効果的だ。
このように、世界中の市民が「共通の外敵」と認識する存在を作り、その脅威を煽ることによって、各国を「一国の利害を乗り越えた連帯」へと向かわせることができる。
逆にいえば、“テロ支援国”という烙印を押された国は、国際社会から外敵と見なされる。これは世界支配層に反抗的な国に対する格好の攻撃の口実として利用できる。
しかも、先頭に立って戦うのは、真っ先に攻撃を受けた米国だ。よって、「共通の外敵」の脅威が増すほどに、国際社会は米国を頂点としたピラミッド型へと徐々に再編されていく。それが人類統一のための高度な政治である真実を知るのは当の計画者だけである。
第六の目的「米一極支配体制と続く世界的管理社会の実現」
その「米一極支配体制」をそのまま統制社会へと導いていけば、必然的に世界的な管理社会が実現する。そのためにはどうしたらよいのだろうか?
またしても“テロリスト”の政治利用である。
国際テロリストによる市民社会へのテロ攻撃が活発化し、犠牲者が増え続ければ、どんな鈍い政府でも対策に乗り出さざるをえない。
「地獄への道は善意で敷き詰められている」という言葉があるが、平時なら考えられないようなきわどい法律でも、テロ対策とか、市民の命と安全を守るという名目なら、通すことが可能になる。かつて日本でも「テロ対策」という名目で、ほとんど一夜にして街中のゴミ箱が撤去されてしまった経緯があった。だから、これは政治的な魔法である。
世界支配層の大衆コントロールの手腕は絶妙だ。羊の群れが自分から柵の中に入っていくようにするためには、どうしたらよいか。柵の外にオオカミを放てばいい。同じように、テロリストとテロへの恐怖から、市民自ら管理社会を望むように仕向ける。
このように、市民を守るため、テロを防ぐためという理由で、市民自ら望む形で、次第に世の中を「管理社会・警察国家」へと変えていくことができる。
政府と政治家は、監視社会化を批判されるどころか、逆に世界支配層のメディアと知識人、それに煽られた市民から「対策が遅すぎる」などと尻を叩かれる始末だろう。
しかも、相手は「国際テロ組織」という、従来の国家の枠を超えた外敵である。必然的に対策も国境を越えたものになる。その過程で、国際機関の役割を拡大し、どんどん権限を強化していく道も開ける。だが、それは裏を返せば国家主権の弱体化である。
いずれ軍隊も共通化したほうが便利だということで、国連軍も寄せ集めから国際常備軍へと変更されるかもしれない。それは世界政府の礎になっていくだろう。
気づいた時には、世界的な管理社会において、むしろ国家が“世界的組織”に従属する立場へと追いやられているかもしれない。それを政治的に可能とするものこそ、「国際テロ組織」という外敵であり、テロ対策という「魔法の言葉」なのである。
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