「金神の艮の文」(トドメノフミ)と呼ばれる怪文書があります。
出典のサイトに全文が掲載されていますが、元の発信者は不明です。
ついぞ来たれし天の時、天翔かけ国馳かけ天を舞い天下に雷鳴轟かせ神の御国と建て替える。
あらゆる教えを混ぜ混ぜて一つの法といたすぞよ。
(略)神の仕組みは整うた。
あらゆる宗派は一となる、神の合図で一となる。
神の仕組みの出来上り。
聞いてびっくり見てびっくり、このカラクリを知りたなら開いた口とて塞がらぬ。
嬉し嬉しで開く口と阿鼻叫喚に開く口のふたつとなりし時なりと覚悟の上で知るがよい。
異変が天に起こる時、大地に異変起こるなり。(後略)
出典:金神の艮の文(トドメノフミ)(http://yusan.sakura.ne.jp/library/todomenofumi/)
一種の予言書ですが、以下長々と続きます。
この「艮の金神」(うしとらのこんじん)とは、京都亀岡に生まれた出口ナオに降りた神様のことです。霊媒状態で予言などを口走り、大本教の開教へと至りました。
その創始者の後を継いだのが、稀代の怪人物・出口王仁三郎です。
艮の金神は正式名を国常立大神(くにとこたちのおおかみ)といい、「地球神」のような立場にあるらしい。ナオの前にも、彼女自身の言葉によれば、黒住教・天理教・金光教へと順番に降りたという。黒住というのは江戸時代末期の神道系新宗教です。
大本関係者は認めていませんが、大本教のあとには、一説によると、画家・神主の岡本天明へと下り、その時の自動書記が「日月神示」と呼ばれています。
「神々のアジェンダ」で触れていますが、これは旧約聖書に登場する神様と預言者の関係に似ているんですね。だから、ナオや岡本天明も「預言者」かもしれない。
もとは天理教の増井りんに降りた神示だった?
このトドメノフミについて、詳しい人は次のように解説しています。
その文はどうも天理教の中山みき開祖の「教祖・本席のお守り役、別席取次人、息のさづけ」たる差し添え人であった「増井りん(1843~1939)」さんに降りた文のようです。
増井りんさんは、大本教の出口なお開祖(1837~1918)より少し若い方で、ほぼ同時期の方です。そのトドメノフミには大本教のことも出口なおさんのことも記されていますので、天理教と大本教が関連していることを天理教サイドからも出されたわけです。
出典:人に内在する良心神(神言会)(http://kamikotokai-b.jugem.jp/?eid=340)より
増井りんさんは天理教の人たちには有名みたいです。こんな方ですね。
このアニメは、ちょっと感動的です。
トドメノフミには、天理教の開祖の中山みき、そのお守り役の増井りん、そして大本教の開祖の出口ナオ、さらに日月神示の名前までが登場します。
だから、この系統の関係者から発信されたことは間違いないでしょう。2010年頃に匿名の人物によってネット上にアップされたようです。
ただ、本当に増井りん自身の言葉かは、疑問な点もある。あるいは、元の増井りんの言葉に、アップ者か誰かが勝手に書き足しをした可能性も考えられる。
たとえば、次のような記述。
神はハイカラ申すぞよ、ポールシフトと申す事、地軸の異変と申す事、人なる肉身に起こるぞと、この度、初めて明かすぞよ。
日本に“ポールシフト”なる言葉が伝わったのは、おそらく1970年代でしょう。ちなみに、この記述を見た時、私にはピンと来たことがある。
地軸の異変と同じことが人体にも起こると言っているわけですが、実は、これはポール・ソロモンさんに降りた神霊もまったく同じことを言っているんですね。
ちなみにポール・ソロモンさんといえば、こちらの記事に詳しい。
この類似性については後日、別の記事にしますので。
また、首を傾げる記述も存在している。
国の頭と申された、お偉いお方が申うされた。
日本は神の国なりと、それを聞いたる取り巻きは、非難ゴウゴウ野次ゴウゴウ、袋叩きにした上に、詫びろ詫びろと大騒ぎ、神無し思想は大騒ぎ。
外より外より知ると知れ、外なる国の外国人、日の本、日本のご威光をまざまざ知ると思い知れ。
これはおそらく、2000年5月の森喜朗首相による「神の国発言」(*)を指していると思われます。なにしろ、この種の発言が「非難ゴウゴウ」になったのは戦後の話ですから。あと、この神示は変に国粋主義を感じさせる部分がある。
その他にも、「聖母マリアがその眼まなこ、お血の涙を流された」とか、「バブル、バブルのその頃に」とか、現代人が書いたと思わせるような言葉がチラホラ。
もっとも、「未来を予言した」ならば、増井りんが未来の言葉(ポールシフトなど)や未来の事件(神の国発言事件など)を語ったとしても、一応理屈は通りますが・・。
ところで、この2000年5月といえば、またも奇妙な偶然ですが、ポール・ソロモンさんが「ポールシフトが起きるだろう」と予言していた年です。
(*神道政治連盟国会議員懇談会において森氏が行った挨拶の中にある一節。「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知して戴く、そのために我々(=神政連関係議員)が頑張って来た」)
2038年から何らかのカタストロフィが始まるのか?
ただ、このテンポのいい講談調の文章といい、語っている内容といい、出口王仁三郎の「いろは歌」調の予言と妙に共通性があるのも事実です。
いずれにしても、真偽のほどは不明ですが、この天理・大本系の文書は、近未来において、「艮の金神による三千世界の立て直し」があると予言しています。
それによって、ミロクの世(地上天国)が到来するという。
しかし、そこへと至るには「大峠」とも言われる、それこそ今の人類社会を根底から破壊してしまうような恐ろしい天変地異がある。
しかも、日月神示は「半霊半物質の世界へと移行するから、人間もそうならないといかん」という意味のことを予言していますが、このトドメノフミも、世界が原子レベルで本質的な変化をすること、その際に改心するかしないかが人の運命の分かれ目になると主張しています。しかも、ユニークなのは「時期」まで示唆していることです。
こんな一文があります(傍線は筆者)。
準備期間は1ヶ年、午年迎えて1ヶ年。
それより早よても遅うてもこの救済はまる潰れ。
金神この事三千年、大神様は幾万年。
仕組みの準備をされたゆえ潰す訳には参らじぞ。
午年(うまどし)、青菜跳ね上がり未(ひつじ)に米は当りだす、それが合図の時なりと明(あけ)の烏(からす)が鳴いたれば辛酉(かのととり)まであとわずか、飛んで火に入る夏虫とミロクの民は真っ二つ、きっちり、すっきり立分れ、彼岸の岸ぞ舟が行く。
これよりは電光石火で参るぞよ、神の裁きに待った無し、目にも止らぬ早技で、善、悪、正、邪ぞ別けに出る。
この傍線部分ですが、読んでのとおり「干支」になっています。トドメノフミの中でも非常に重要らしく、繰り返し登場します。
そして、現代のわれわれからすると、上記の干支は以下(赤線)に対応します。
つまり、牛・2038年、未・2039年、辛酉・2041年というわけです。
どうやら、トドメノフミを真実と受け取るなら、2041年には「飛んで火に入る夏虫」と「ミロクの民」とにきっちり分かれるらしい。
ちなみに、この「辛酉」(かのととり、又しんゆう)は、大本の筆先や日月神示でも非常によく出て来る言葉です。次回に解説します。
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