デイムス少佐が感じ取ったのは金正恩の“狂気”だった

アジア




“they’re going to pop a nuke in anger”

「彼らは怒りで核兵器を破裂させるだろう」

少佐ことリモート・ビュワーのエド・デイムスはずっとそう言い続けてきた。この「彼ら」とは北朝鮮のことである。当初、私はこの発言が今ひとつ意味不明だった。というのも、どこの馬鹿がそんな感情的理由から核攻撃を命じるのかと、疑問に思っていたからだ。



暴走し始めた金正恩体制

ところが、2011年12月に金正日が死去し、三男の金正恩が後継者に就任すると、それまでの状況に変化が訪れる。金正恩は単なる三代目のボンボンに留まらず、気に入らない側近を粛清しまくるなど、次第に傲慢になり、プチスターリン化していった。

金正恩は、金日成や金正日がタブーとしたことも平気でやってのけた。それが中国との対立である。彼は習政権の警告を無視して、2012年12月の長距離弾道ミサイルの発射実験と、2013年2月の三度目の核実験を強行した。これに習近平が激怒し、食糧供給の一時停止や中国四大銀行との取引停止などの制裁を行った。13年12月には、「国家転覆を企てた」として、ナンバー2にして中国派の張成沢とその派閥を大量処刑した。

ただし、中国との関係はいったん冷え込んだが、さすがに前門の虎と後門の狼を同時に敵に回すのはマズいと考えてか、関係改善を模索する。これに関してはさすがに内部的にも「早く関係を修復しましょう」という諫言が多かったのではないか。また、朴クネ政権の懇願で2015年末の戦時作戦統帥権返還・在韓米軍撤退が延期になった影響も大きい。「米中間の緩衝地帯」という、中国から見た北朝鮮の戦略的価値が再び維持される形になったからだ。

かくして、2015年10月には、中国の序列5位の劉雲山が朝鮮労働党式典に参加し、中朝関係の一応の修復を内外にアピールした。

さて、背後に安心したためか、金正恩は再び猛烈な反米挑発に打って出る。ここからは最近「フリー座」に掲載した一連の記事を紹介していこう。

「なぜユダヤは北朝鮮を叩き潰そうとしているのか」

まずはこの記事から。2016年からの北の核・ミサイル実験を引用する。

・1月6日、初の水爆実験を実施。核実験自体はこれで4度目。北朝鮮自身は「実験は成功した」と公式発表しているが、通常原爆の疑いが持たれている。

・2月9日、長距離弾道ミサイルの発射実験を実施。韓国国防省によると、搭載物体の重量は約200kgであり、射程は米東海岸に届く1万2千キロだという。

・3月15日、同ミサイルに欠かせない大気圏再突入の模擬実験に成功したと朝鮮中央通信が発表。

・4月9日、ICBMの高出力エンジンの地上燃焼実験に成功したと朝鮮中央通信が発表。金正恩は「米本土は攻撃圏内」と述べたという。

・4月24日、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射に成功したと朝鮮中央通信が発表。

とまあ、凄まじい勢い。ここに挙げた以外にも、弾道ミサイル撃ちまくり状態。そして私はこう続けた。

イスラエルとイランは戦争一歩手前で止まっている状態だ。(略)オバマはネタニヤフとの首脳会談を拒否した。よって米政権が変わるまでは、イスラエルとしても対イランで行動が起せない状態である。イランと北朝鮮は事実上の同盟関係に近い。(略)北朝鮮にしてみればイランは貴重な兵器ビジネスの相手だし、すでに弾道ミサイルも輸出している。(略)これはイスラエル目線でいうと、いくらイランの核開発を禁じたところで、北朝鮮から秘密裏に技術が渡ってくるとすれば、北朝鮮がイランの代理で核開発をしているのと同じことである。

「アメリカが北朝鮮の処断を決意した理由」

次はこの記事。2016年2月に北朝鮮は長距離弾道ミサイルの発射実験を行った。その射程は米東海岸に届く1万2千キロ。これは米にとって一線を越えた出来事だ。

北朝鮮のミサイルとして、米本土の東部沿岸を標的に収めたのは、初めてのことだ。ただし、技術的にはまだ不安定のようだ。だが、北朝鮮はかつて準中距離ミサイルのノドンの改良を重ねて、次第に兵器として安定させていった実績がある。つまり、全米が北朝鮮の長距離弾道ミサイルの射程圏内に入るのは、基本的に「時間の問題」というわけだ。そしてその弾頭に核爆弾を装備するというのが、まさに彼らの最終目的なのである。

かくしてアメリカの安全保障は次のような状況だ。

第一に、あと数年もしたら、ワシントンやその他の東部の都市を正確に攻撃可能な核ミサイルが完成してもおかしくはない。第二に、その兵器と技術がその他の反米国家や組織にばら撒かれる事態は何としても阻止しなければならない。

「なぜ2017年以降、朝鮮半島の戦争リスクが急激に高まるのか?」

というわけで、「打倒北朝鮮」で、アメリカとイスラエルの安全保障上の国益が一致した。これで戦争にならなかったら、そっちのほうが奇跡だろう。

ただし、オバマ大統領はもうすぐ引退予定。だから、戦争を始めるタイミングとしては、次の新政権の発足を待ったほうがいいと、戦争計画者たちは考える。

というわけで、今から約5ヵ月後に発足する予定のヒラリー・クリントン政権は、ちょうどジョージ・W・ブッシュ政権を思わせるか、もしくはそれ以上の「戦争政権」になると私は予想する。とくに現オバマ政権と衝突してきたイスラエル(のネタニヤフ首相)が「これを待っていたぜ!」とばかりに、生き生きと活発に策動し始めるだろう。

ただし、戦争推進勢力はもっと大きな視点で計画を立てている。北朝鮮の話題から少し反れるが、私は以下のような事情ではないかと推測している。

対北朝鮮・対イラン戦は、より大きな視点で言えば、本丸のロシアを屈服させる前の露払い(ザコ潰し)だと私は考えている。分かり易くいえば、アメリカは、ラスボスを倒す前に、先に中小反米国家の各個撃破作戦に乗り出したということである。この作戦のキモは、相手に連携させないことだ。だから、イラン核合意とキューバとの先の和解は、北朝鮮を含めた、三カ国の分断策ではないかと、私は睨んでいる。(略)そして、それぞれへの対応を見れば、最初に北朝鮮と開戦する気であることは明らかだ。

つまり、イランの打倒と、キューバの体制変革も含んでいて、最後はプーチン・ロシアを叩き潰すのが真の狙いというわけですな。

「金正恩は日韓に向けて核兵器を使用する!」

そして、ようやくここ。

ファースト・ストライクで「斬首作戦」とやらが成功するなら、是非ともやってほしいくらいだ。しかし、ワルほど悪運が強い。金正恩はまんまと空爆をかいくぐる。そして凄まじく激怒し、「自分が殺される時にはできるだけ大勢の敵を道連れにしてやろう」と思考するだろう。「同じ民族相手に核攻撃しない」は普通の人間の思考であって、この男はそんなふうに考えはしない。容赦なく韓国に向けて撃つ。そして米本土に届かないならば、せめて届くところにあるアメリカ人を殺してやろうと考えるかもしれない。

すなわち、神奈川県上空の、あるポイントで核弾頭を起爆させれば、厚木基地・キャンプ座間・横須賀ベースの「アメリカ野郎に一矢報いることができる」というわけだ。

警告としてのエド・デイムスの近未来予知

このように、近年の動きを仔細にトレースし、そのリアル情報から将来を予測すれば、「彼らは怒りで核兵器を破裂させるだろう」というエド・デイムスの遠隔透視は、近未来予知として少しもおかしくないことが分かる。

彼が所属したサイキック・スパイ部隊の手法は、スタンフォード研究所のチームが開発したプロトコルに従って、無意識から微かに伝達される情報を読み取るものだ。従来の「ナチュラル・サイキックス」と区別して、プロトコル準拠のものは一定の客観性がある。

実際、彼は旧ソ連の軍事施設などをリモート・ビューイングした功績により、米陸軍から三度も受勲している。少なくとも米陸軍は彼の能力を認めたわけだ。勲章の授与証については彼のサイトでも公開されている。また、これは彼の自己申告だが、90年代に北朝鮮が表向き核開発放棄に応じた時も、秘密裏に続けている事実を透視していたという。

さて、これから第二次朝鮮戦争が起きると、金正恩は危うく米軍に殺されそうになるだろう。それで“激怒”して核兵器による報復を命じるのではないか、というのが私の説だ。これは軍事作戦というより、ヒトラーの「パリ爆破指令」のように、ある種の自暴自棄から来る衝動に近い。つまり、「金正恩は自分が死ぬ時にはできるだけ多くの敵も道連れにしてやると思考するに違いない」というのが、私の見立てである。

おそらく、エド・デイムスたちが感じ取ったのは、核攻撃を命じる際の独裁者の狂気だったのではないか。つまり、北の核兵器使用と直接的に因果関係を持つのが、この怒髪天を突く金正恩の怒りだったため、リモート・ビュワーたちが時空を超えてそれを読み取った、というわけだ。そして、この男が現実に残酷な独裁者としての風格を身に着け、無謀ともいえる核・ミサイル開発を加速して朝鮮半島を戦争前夜にしてしまった今、彼らの予知はにわかに現実味を帯びてきたといえるのではないだろうか。

ただし、誤解のないように断っておくが、エド・デイムス自身は「北朝鮮は朝鮮半島で核兵器を使用する」と言っているだけで、日本が標的になるとは言っていない。「日本を射程に収める核ミサイルを持つ以上、日本が韓国軍・米軍の後方支援をした場合、その拠点となる厚木基地周辺が核攻撃の対象になっても不思議ではない」というのは、あくまで私が個人的に可能性を論じているだけの話で、間違えないようにしてほしい。

私が日本のリスクを提示している理由は言うまでもない。絶対にそうなってほしくないから警鐘を鳴らし、まず「関わるな、中立でいろ」と提言している。さらにPAC3をもっと増やしてディフェンスを強化したらどうかと言っている。すべては被核攻撃のリスク除去のためである。

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