最近、「FBIの公式文書から“影の政府”という名称が出てきた」という情報が駆け巡っています。去年の10月に出てきて、一部の欧米サイトがセンセーショナルに取り上げたことから、私も元資料を見ましたが、肩をすくめて無視していました。
ただ、爆弾級の情報だと思っている人も中にはいる。私としては、そんな風に大げさに受け止めた人たちを決して揶揄する意図はない。単に見解の相違に過ぎないと断っておく。ただ、この程度の話が「影の政府」になるなら、日本の内閣府や省庁は「影の政府」だらけになってしまう・・・まだそういうレベルの話なのも事実です。
問題の箇所を読んでみると・・・
アメリカには「情報公開法」(FOIA :Freedom of Information Act)があって、それに基づいて市民が政府機関に公文書等の開示を請求することができます。
で、例の「ヒラリー国務長官が私用のメールアドレスを公務の膨大なやり取りにも使用していた」という疑惑があって、それをFBIが事件として捜査しました。
これは昨年の大統領選挙中にも大きなニュースになりました。で、誰かがFOIAに基づいて、その捜査資料の開示を要求したんですね。その資料の中に、国務省内には「7階グループ The 7th Floor Group」や「影の政府 The Shadow Government」があって、メール問題の対応策とか、FBIとの取引をやっていた、という話が載っている。
FBIの公式サイトで公開されている以下が、問題の資料ですね。
で、この文書の56ページのところに、例の記述がある(*赤線は筆者)。
断っておきますが、私はこの「影の政府」が登場した辺りしか読んでいません。文書全体のごく一部にすぎませんが、そんなに大騒ぎする内容とは思えない。
まあ、要するに、国務省内に、クリントン派の上級職者たちが仲間内で作っている私的なグループがあって、律儀にも毎週水曜の午後に集まって、FOIAや議会調査の対象となるクリントン関連のあらゆることを協議・対策していた、という内容ですね。
たしかに、少しきわどい話も登場する。こういう私的な会合が、ヒラリーが不利にならないよう、大量の公務メールのリリースに関して、通常の手続きを踏まずに自分たちで操作していた。しかも、そこにはリビアのベンガジ事件絡みもある。
さらに、ジョン・ケリーやパトリック・ケネディ、その他の省幹部クラスがメンバーにいる。ケリー氏といえば、トランプ政権発足と共に国務長官を退任した人ですが、その少し前に、なぜか南極を訪問したことで有名になりましたよね。
あと、空白部分には、何かの圧力で消されている名前や名称もある。ここに本当のスキャンダラスな爆弾情報が隠れている可能性もあります。
ただ、これは日本でいう“派閥”ではないのか、という気がするんですね。つまり、国務省内で言われている「7階グループ」や「影の政府」とは、日本風に評せば「ヒラリー派閥」のことで、それ以上のものは、今のところ見えてこない。
私的権力という意味で「影の政府」という言葉が使われている可能性
なんでこれがアメリカで問題視されるのかというと、背景には日米の政治文化の違いというか、はっきり言えば、曲がりなりにも米の国内政治が日本よりもはるかに近代的で、公私混同をわきまえているからに他ならないでしょう。
それゆえ、米連邦政府には、公には、そういう私的な、又私情に基づいたサークルは存在しない、という建前になっています(まあ、日本でも一応はそうですが)。
つまり、公費をもらって、公の機関で働く者たちが、自分たちの仕事時間と仕事場所を、身内をかばうために使ってもいいのか、公務情報の公開にあたり正当な手続きを踏まなくてもいいのか、という、そういう問題意識なんですね。
要は、アメリカ人の常識上、「こんなものは私的権力じゃないか!」という共通認識があって、そういう非常識を誰の咎も受けずに行えるグループがあるから、省内で「影の政府」などと呼ばれているのではないか、というのが私の印象です。
そういう意味で、米連邦政府とメディアは、良くも悪くも欧米です。こんな行為は、アジアではそもそもスキャンダルにすらならない。日本の政界や官界でも、こういう私情行為は日常的にやっている。役所内で堂々と官職売買が行われ、最初から「私」しかない中国だと、そもそも何が問題なのかすら理解できないのではないだろうか。
たぶん本物の「影の政府」の出先だと思われるが・・
本物の「影の政府」といえば、今から80、90年前に、世界恐慌や世界大戦を引き起こした巨悪の集団ですよ。
しかも、これからまた世界恐慌や世界大戦を始めて、世界政府を作ってやろうか、などと企んでいる連中ですよ。
米国務省の7Fでシコシコとメールのもみ消しをやっているグループが、それと同等の「影の政府」だと思いますか? せいぜい国務省内のヒラリー派閥ですよ。
もちろん、「ひょうたんから駒」(*ちなみにこの「駒」って「お馬さん」のことだったんですね・・)という諺があるように、このメンツから考えて、国務省内の「影の政府」が本物の「影の政府」と関係している可能性は十分にある。
つまり、「7階グループ」は、本物の「影の政府」の、国務省内の出先機関(又グループ)というわけですね。ヒラリーのバックにはジョージ・ソロスやロスチャイルドがいるので、たぶんそうだろうと私も内心で思っています。
だいたい、伝統的にも、国務省は「影の政府」の下部機関で、米国コントロールの牙城でもあります。キッシンジャーのように「影の政府」の人間が国務長官を務めていた例も少なくない。別の記事で触れましたが、今のレックス・ティラーソン国務長官もそれ臭い人物です。彼はCSIS出身で、キッシンジャーやロックフェラーとは旧知の間柄です。
だから、トランプ政権が本当に「反グローバル」なのか、慎重に判断しなければならない。まあ、この辺に関して、私なりの合理的な説があるので、また述べます。
いずれにしても、残念ながら、まだ結論は早いかもしれませんが、このFBIの文書だと、「(本物の)影の政府が本当にあった」という証明にはならないんですね・・。
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