さて、バルカンのノストラダムスことババ・バンカBaba Vangaと、ロシアのパーべル・バーブロビッチ・グローバPavel Pavlovich Globaが同種の予言をしていることは以下の記事で紹介した。
そのグローバ氏の予言が以下である。
戦後世界の命脈は2017年に尽きて、アメリカは経済危機に見舞われる!?
私がずっと引っ掛かっていた超自然情報に、イラン系ロシア人の占星術師パーベル・グローバの予言がある。といっても、正確にはその予言の「一部」である。
その予言が公表されたのは、もう四半世紀も前、なんと1991年9月7日の朝日新聞夕刊だ。記事は「新ソビエト紀行 10」という連載もので、取材者はかの本多勝一氏。
取材自体はその年の4月末に行われたという。当時はソ連の政局が酷い混乱状態にあり、世界が固唾を呑んで同国の行く末を見守っていた時期だった。
この「新ソビエト紀行 10」はまた、かの五島勉氏が『ノストラダムスの大予言 残された希望編』(92年刊)で取り上げたことでも当時有名になった。五島氏は本多記者に個人的に接触し、グローバ予言の未公開部分を入手した上で同書を書き上げたのだ。
■的中したソ連崩壊とプーチン体制確立の予言
結論から言うと、その時の予言は、当たりハズレがある。
ゴルバチョフ失脚とソ連解体の予言についてはピタリと的中した。しかも、これらの混乱が「新体制で安定するのは2003年から4年にかけて」というのもほぼ史実通り。
というのも、プーチンが第2代ロシア連邦大統領に就任した2000年5月当時、ロシア経済を支配していたのは「オリガルヒ」と呼ばれた新興財閥だった。そのオリガルヒが初代のエリツィンと側近政治家たちと癒着し、ロシアの国富の大半を支配していた。
実は、当時の七大オリガルヒのうち6社がユダヤ系で、バックにいたのもロックフェラーとロスチャイルドだった。しかも、アル中のエリツィンに代わって真に政局を取り仕切っていたのが、外務大臣や首相を務めた経済学博士のプリマコフ(ユダヤ系)だった。
プーチンは大統領に就任するや、ロシア国富の奪還作戦を開始した。それは端的にいって「彼ら」との壮絶な死闘だった。ようやくプーチンがロシアの手に富を取り戻したのが2003年から4年にかけてだったのである。つまり、グローバ予言通りだ。
以降、原油・天然ガス価格の上昇もあって、ロシア経済が大躍進を遂げた。ただし、プーチンと「彼ら」との戦いが今でも続いていることは、トカナの読者もご存知の通りだ。
対して、グローバの中東情勢に関する予言は、まったく駄目。大ハズレである。
■人間の集団は72年のリズムを持つ?
さて、私のアンテナに引っ掛かったのが、実は「宇宙の摂理として72年の周期があり・・」というグローバの言葉だった。五島勉氏が次のように著書で補完している。
「これもゾロアスター教に伝わる秘法のひとつだ。それによると国家には、宇宙から下された“72年の周期”があるとされる。だからこの期間内に、次の七二年に進めるだけの新しい改革がなされないと、その国は必ず崩壊する」(同書P29)
グローバは、ゾロアスター教徒の占星術師の家系だという。ここで詳しく述べる紙面はないが、実は「最後の審判がある」とするゾロアスター教の終末観は、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教のそれの元になったと考えられている。しかも、人間を含めてすべての存在に聖霊が宿っているとする概念もあり、いわば今日の一神教と多神教のいいとこ取りをしたようなユニークな宗教だ。そして、占星術といえば、どの古代文明でも科学と秘術を兼ねた学門とされ、政治や国家の運命を推し量る方法としても利用された。
このように「ゾロアスター教」と「占星術」には、何か引っ掛かるものがある。
もしかすると「現代と何の関係があるのか?」と思われる人もいるかもしれない。だが、たとえば、私たちの時間の観念はどうか。一年は12ヶ月で、一日は24時間だ。このように時間を「12」という数字で区切る十二進法は古代オリエントに由来する。
そして、この12周期を6回繰り返したものが「72年」だ。果たして、これが人間の社会集団の持つ変動リズムに相当するのだろうか。
すべてのものにはリズムがある。たとえば、人体には脈拍、心拍数、呼吸数、脳波などがある。生物の寿命もある種のリズムといえる。下は光(電磁波)や素粒子、原子といったミクロから、上は天体の運行や銀河系の自転周期とったマクロまで、すべての存在にはリズムがある。だから、数百、数千万という人間集団の「国家」にも何らかのバイオリズムがあっても不思議ではない。問題はそれが本当に「72年周期」なのか否かだ。
■明治日本の命脈はピタリと72年間で尽きた
改めて私が人類の歴史を調べてみたところ、この「72年周期」というのは、どうも本当にありそうだ。ただし、複雑な人間の社会だから、72年間はあくまで基準であって、実際には前後に数年間の「あそび」が生じる。さらに、単純に72年の周期が繰り返すわけではなく、ある秩序が崩壊した場合、その次の秩序が確立するまでの「過渡期」(≒混乱期)という概念も必要だ。この「あそび」と「過渡期」という要素を柔軟に取り入れれば、72年のリズムは実際の各国史にかなり当てはまるというのが私の正直な感想だ。
たとえば、明治維新は1868年。この年に日本は新体制に移行した。その72年後といえば1940年。ゾロアスターの秘法によると、当時の私たちは自己変革に失敗したために、この年に明治日本の命脈が尽きてしまったという解釈になる。その後の約5年間はたまたま太平洋戦争中だったが、これが次の体制に移行するまでの「過渡期」に当たるというわけだ。そして1945年8月の敗戦か、もしくは1947年5月の新憲法施行をもって、現在へとつながる戦後新体制が始まったと見なすことができる。
■各国の歴史にもよく当てはまる72年周期――ドイツ・イタリア
興味深いことに、枢軸国であったドイツとイタリアの国民国家の成立時期もほぼ一致している。今日のドイツが出来上がったのは、プロイセンが普墺戦争に勝利した1866年か、もしくは普仏戦争に勝利してドイツ帝国が成立した1870年か、議論が分かれるが、いずれにしてもこの頃だろう。また、統一イタリア王国が初めて成立したのが1861年だが、真に完成されたのはヴェネチアが編入された1866年か、教皇領が編入された1870年と見るのが妥当かもしれない。このように、近代日独伊の成立時期はほぼ一致している。
余談だが、どうやら国民国家が成立した当初はナショナリズムを求心力とするため、そのボルテージが上昇の一途を辿り、どうやら70年後あたりに絶頂に達するらしい。とすると、大戦後に独立した国々のナショナリズムが今ピークを迎えている頃だ。
■各国の歴史にもよく当てはまる72年周期――米・中・ソ
さて、アメリカを例にとると、独立宣言自体は1776年だが、それから独立戦争へと突入したため、実際に初代大統領が正式に就任し、連邦議会が発足したのが1789年。この年が真の国家成立時期だ。その72年後の1861年にきっかり南北に分裂し、南北戦争へと突入している。そして南北が再統一されて今日のアメリカが誕生したのが1865年。
中国の場合だと、1840年のアヘン戦争から72年後、辛亥革命で清朝が滅亡。それから蒋介石による再統一まで20年以上もの「過渡期」を要したが、新体制が中途半端なまま日中戦争になり、結局は1949年の共産中国の成立を待たねばならなかった。
ソ連の場合だと、始終がやや曖昧だ。成立時期は、1917年の十月革命から22年末の連邦結成までの間だろう。一方、終焉時期は、実質的な崩壊といえる1989年のベルリンの壁崩壊から91年末の連邦消滅までの間といえる。いずれにしても、ほぼ72年間だ。
■戦後体制は2017年に終焉して一挙に崩壊していく!?
このように、「あそび」と「過渡期」という概念で補完すれば、「ある安定した国家秩序が新たに確立されると、それは72年の間続き、その期間内に自己改革に成功すれば再び72年の命脈を得ることができるが、失敗すれば崩壊へと向かう」というゾロアスターの秘法は、どうやら単なる迷信ではないらしいのだ。言ったように、ミクロからマクロまで、宇宙の全存在にはリズムがある。だから、人間集団にも必ず何らかのサイクルが存在している。「それが72年だ」と、古代ペルシアの学者はなぜかピタリと見抜いたのだ。
とすると、ちょっと恐ろしくないだろうか。なぜなら、第二次大戦は史上空前の世界的戦争だったため、大半の国が戦後に新体制を築く形になった。それは日本だけでなく、米・欧も同じ。しかも、多くの民族が大戦後数年以内に独立し、新国家を建てた。
1945年の72年後といえば2017年。つまり、世界の多くの国家がこれから一斉に耐用年数を迎える時期に入ったのだ。果たして、日本や世界は“自己改革”に成功したといえるだろうか。していなければ、2018年から一斉に崩壊過程に突入していくだろう。
次の新たなシステムが確立されるまでの間、過渡期(混乱期)に入ると言い換えてもいい。そしてかつてそうであったように、それが恐慌や戦争になるかもしれない。
■オバマ大統領が酷い目に!? そしてアメリカの覇権が終焉する
最後に、アメリカに関するグローバの予言に触れておきたい。新聞記事では「第四十四代大統領はひどい目にあい、もはや二十一世紀はアメリカのものとはならない」で終わりだが、五島勉氏が入手した本多記者の取材テープには次の「未公開部分」があった。
「これは彼が、とても重大な事件に巻き込まれるという意味です。それは経済的な大事件で、アメリカはそのとき、経済上の大危機におそわれるのです。このため、アメリカはなんらかの意味で二つまたは南北に分裂するほどの痛手を受けます」(同書P56.57)
それで「二十一世紀はアメリカのものとはならない」というのである。しかも、中東情勢も何らかの形で絡んでくるという。いったい“経済上の大危機”とは何か?
第44代大統領といえば現オバマ氏だ。そして任期はあと数ヶ月。果たして・・・。
2016年10月18日「トカナ」掲載
(*題名・見出し等は少し変更してあります)
(追記:改めて言うまでもないですが、この72年周期説でいうと、2017年の8月をもって第二次大戦後の秩序は終焉を迎えるということです。日本では、電通の過労問題とか、慶応大学のレイプ事件とか、政治(与野党共)の劣化などの問題が起きていますが、一見個別事例のようでいて、実際は戦後秩序全体のほころび現象なのかもしれません。私たちは新しい秩序に移行するために、また「生みの苦しみ」を経ることになるのでしょうか・・)
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